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12月25日(日曜日)午前9時30分~
川俣町中央公民館 大ホール
震災から9ヶ月。村立の2つの幼稚園と3つの小学校の、延期されていた卒業式が、川俣町中央公民館の大ホールを会場に執り行われました。
卒業証書の授与は、幼稚園、小学校と続けて行われました。先生方が親子の座る席を回り、1人1人にしっかりと証書を手渡しました。
3人の校長先生がはなむけの言葉を贈りました。
「この9ヶ月は心をつないできた時間でもあります。相手のことを思う心のエネルギーはすごい力。感謝の気持ち、思いやりの気持ちを、家族や友達に広げてほしい。冬来たりなば春遠からじ。共に冬を耐えて春を待ちたいと思います」「飯舘村は、村民の人情とふるさとを愛する気持ちが育んできた村。村民が力を合わせて切り開いてきた村です。困難に立ち向かってください。そして、いろいろな援助を当たり前と思わずに、いつか返せる人に成長してください」「つらく、苦しくとも歩み続ける自分を、もう1人の自分として応援してください。これからも、目で見て、耳で聞いて、心で感じたことを大切にしていってください」
広瀬教育長は、ある高校生の言葉を引用しながら、「福島に生まれ育って、一生を過ごす…こんな当たり前のことができるかどうか、不安に思う現実を申し訳なく思います。それでも人生に無駄なことは1つもありません。困難に負けずに頑張ってほしいという、今日の式は激励の式でもあります」と語りかけました。
子どもたちは、それぞれの言葉をかみしめるように、じっと聞き入っている様子でした。
村長は祝辞の中で、式が9ヶ月も遅れたことを詫びた上で「心からお祝いします。お父さん、お母さん、兄弟の皆さんと支え合い、頑張ってくれたことに感謝します。立派です」と子どもたちをねぎらいました。そして、「苦しい時、逃げたいのは誰も同じ。でも逃げれば苦しみは追いかけてきます。苦しみに飛び込んで立ち向かう事こそ、苦しみから逃れる唯一の方法なのです。どうか勉強に、スポーツに一生懸命打ち込んでください」と言葉を贈りました。
卒業生を代表して、中学1年生の3人が壇上に上がり、「自分の学校から卒業できなかったことが一番悔しい。当たり前だと思っていたことのありがたさに気づかされる毎日でした」「あいまいなまま中学生になり、卒業式ができると聞いた時はうれしかった。卒業生の誇りを持って、3学期から新たに頑張っていきたいです」「震災を経験して、今だから言える感謝の言葉がある。みんなで帰れる日を信じて、今できることを頑張ります。自分のため、村のために努力します」などと思いを語りました。「すべての方に、卒業生一同、感謝します」という言葉に、涙を拭う保護者の姿もありました。
後半には、村を支援するリバース・プロジェクトの協賛で、歌手の岡本真夜さんらによるコンサートが開かれ、駆け付けた団体代表の俳優・伊勢谷友介さんらがサンタクロースやトナカイに扮するなどして盛り上げました。
岡本さんの歌をバックに、園生活・学校生活の写真がスライドで流れたほか、ラストには岡本さんの代表曲「TOMORROW」を全員で歌い、会場は一体となりました。
式を通して、会場はあたたかな思いに満たされ、何にも代えがたい子どもたちの笑顔が咲いていました。