土壌の再生から取り組んできた菅田地区の農場
旧臼石小学校を拠点に、令和元年から飯舘村で、農地の再生に取り組んできた株式会社リファーの農業部門。令和6年よりグループ会社の株式会社エムケーファームと業務を一本化、人員体制を強化しながら遊休農地での営農を拡充しています。
新しい村づくりに果敢に取り組む飯舘村を後押ししようと、6年間に及ぶ全村避難が解除されたばかりの村で、いち早く農業再生プロジェクトを立ち上げたのがリファーであり、村に移住しプロジェクトを牽引してきたのが、エムケーファーム代表取締役社長の菊野里絵さんです。プロジェクトがスタートした当初から、付加価値のある農作物の生産や、6次化のための商品開発に挑戦してきました。
菊野さんは、東京都の出身です。東京電力の社員として都内で働いていましたが、消費をするだけの都会暮らしに疑問を持つようになり、会社を辞め、伊達市で桃農家になりました。転身の原動力は、幼い頃の記憶。福島市の祖父母が営む果樹園でほおばった桃のおいしさだったと言います。そして、一から始めた桃の生産がようやく軌道に乗り始めた5年目に、東日本大震災が発災。当時住んでいた場所がホットスポットに指定され、また、元東電社員という立場にも苦しみ、離農しました。
旧臼石小学校の事務所にて
もう農業はできないと考えていた菊野さんでしたが、学習塾の経営などを経て、地域活性化に取り組む企業に入社。農業再生プロジェクトの立ち上げに伴い飯舘村に設立されたリファーで、再び農業に携わることになりました。「そこからまた、私なりに使命感を持って、農業に向き合ってきました」。
農業部門を再編し、エムケーファームとして事業を進めるにあたり、同社は企業雇用型地域おこし協力隊を採用。さらに1人を雇用し、村内の農場の運営を、若い2人に託しています。
協力隊の寺島翔太さんらが菅田地区での営農に取り組みます
「若い力を借りながら、おいしい野菜をお届けしたい。また、私たちの取り組みを通して、かつてのような牧歌的で美しい風景を、少しずつでも取り戻していけたら」。エムケーファームは、村内のさまざまなイベントやツアーに「おいしい野菜、おいしい料理」を提供するなど、地域への協力も惜しみません。
道の駅直売所の生産者が開くマルシェにて
「農業を再生していく過程にあるからこそ、新規参入、人材の発掘、スマート農業の導入などにチャレンジしやすい環境があると思います。私たちも村の農業の再生に、これからも本気で取り組んでいきます」と菊野さん。「規模を広げ、売り上げを伸ばして、エムケーファームの存在感を、一歩一歩広げていきたいですね」。
コミュニケーションを大切に、さらなる躍進へ力を合わせます
株式会社エムケーファーム
飯舘村臼石字田尻127-1
TEL:0244-68-2501
FAX:0244-68-2502