中央が井口さん。左は代表の星野勝弥さん
「いいたてクリニック」で診療にあたる本田徹先生のことをテレビで知りました。移住をして訪問診療にも力を注ぐ本田先生の取り組みに感銘を受け、先生が副会長を務める「健やかに暮らせるいいたての会」の催しなどに足を運ぶようになりました。
私は南相馬市の出身です。高校を卒業すると同時に故郷を離れ、看護師となり、関東圏の病院で仕事をしてきました。仕事をしながら3人の子どもを育て、栃木県内の国立病院で定年を迎えて、南相馬市へ住まいを移しました。
私は当時、脳出血のため40代で障害を負った夫と、認知症を患う母の介護をしていて、南相馬市で2人を看取りました。
そして1人になり、これからのことを考えた時に、飯舘村で働いてみたいという思いが芽生えていました。
私は、村内の催しなどに通う中で、本田先生や役場の方に相談し、企業雇用型地域おこし協力隊として、「あがべご訪問看護ステーション」で働くことを決意しました。「やりたいことをやってみよう」と。
事務所で準備を整え、颯爽と訪問看護に出発
夫の1周忌を経て、飯舘村に移住しました。現在は、企業雇用型地域おこし協力隊として「あがべご訪問看護ステーション」に勤務しています。訪問看護はもともとやりたかった仕事でもありました。「丈夫なうちは働き盛り」と思って頑張っていくつもりです。
働き始めて、地域の皆さんと連携している職場であることを実感しました。皆さんの中に自ら入っていく姿勢と丁寧なコミュニケーションを心がけ、地域につながりをつくっていきたいと思っています。
病院とは違う環境で医療に携わる現場には、大変な面もありますが、他では得られない学びもあります。若い方にも、関わっていただきたいですね。病院で技術を磨いて、ぜひ地域に入ってみてほしいと感じています。
訪問看護の利用者さんからエネルギーをもらいながら、日々の仕事に向き合っています。互いに生かされている感覚です。時間をかけて少しずつ皆さんと馴染んでいきたい。地域をつなげる地域おこし協力隊になりたいです。
経験を生かし、訪問看護の仕事に向き合います
清々しい朝、空気がおいしいなと感じます。自然の匂い、鳥のさえずり。ゆっくり流れる時間を楽しんでいます。また、村内で開かれるイベントの運営に参加するなどして、新しいつながりも生まれています。
同年代の皆さんが、地域おこしに力を尽くしてきた、そして今も挑戦を続けている飯舘村で、私も頑張ってみたい。月日を重ねてきたからこそ、今だからできることを。
「健やかに暮らせるいいたての会」は、それぞれの人が個性を生かし、思いを持って活動しています。少子高齢化は全国的な課題で、震災を乗り越え地域を盛り上げていこうという取り組みは、さきがけのモデルとなるでしょう。飯舘村は、新たな移住ブランドを確立できる、可能性を秘めた場所だと感じています。
蔵を改装した「あがべご訪問看護ステーション」の事務所
飯舘村は、井口さんのように村内の募集企業で働く「企業雇用型協力隊」の他「フリーミッション型協力隊」も募集しています。任期はいずれも3年間。募集の詳細については、いいたて移住サポートセンター「3ど°」まで、お問い合わせください。