4代目として代表を務める二瓶貴大さん
二瓶貴大さんは、刃物の製造・販売・修理を行う「刃物の館やすらぎ工房」(株式会社二瓶刃物)の4代目。親方でもある父の信男さんと共に、刃物工場の適地を探して飯舘村と出会い、飯舘工場は、旧草野幼稚園を改修して令和元年に誕生しました。
園舎のホールだった一室に、大型の機械類が並びます。貴大さんは、日本の伝統的な刃物づくりの技術を学び、全ての工程をまかなう一貫生産で、オーダーメイドを含むさまざまな刃物を製造しています。プロの道具から一般家庭の刃物まで。販路は海外にも大きく広がっています。
園舎の面影を残す工場に、澄んだ打音が響きます
「ありがたいことにお客様からはよい刃物と評価をいただくのですが、修行が進むにつれて自身に要求するレベルも上がっていくので、仕事に向き合う気持ちは1年目と変わらないです」と真摯なまなざし。焼入れ、研ぎ、そして名入れまで、までいな仕事を重ねてつくり上げる美しい刃物は、「作品」と呼びたくなる佇まい。
隅々まで手をかけつくり込まれた刃物は見惚れる美しさ
「ものづくりが好きというのが根底にある」と貴大さん。福島市在住の藤安将平刀匠のもとで刀鍛冶の修行を続けていて、いよいよ資格試験の準備も進んでいます。
日没を待って蕨手刀の焼き入れが行われました
二瓶さんは、令和6年の夏から秋にかけて、「山の向こうから鐡(てつ)を打つ音が聞こえる」と題したイベントを、断続的に開催しています。8月3日・4日のイベントでは、古代の炉を復元して鉄をつくり、その鉄から蕨手刀(わらびてとう)を製作するという挑戦を公開しました。
「1200年前の飯舘を舞台に、当時の鍛冶屋の仕事を再現し、この地に根ざす歴史や誇りを、村の人達と共有したい」。
元地域おこし協力隊の妻・麻美さんが二人三脚で準備にあたり、当日は、地元事業者の飲食ブースが並んだ他、子ども向けのワークショップも開かれました。親方の信男さん、刀鍛冶の師・藤安刀匠も、この挑戦を全面的に支えています。
工場開所時から思い描いてきたイベントが実現します
また、大倉地区の古民家を改修した自宅で民泊許可を取得し、鍛冶仕事の体験プログラムの準備も進めています。「鍛冶屋さんがさりげなく行う作業も実際にやってみると難しい。その難しさにも触れてほしい」と目を輝かせる貴大さん。日本の刃物づくりの魅力を飯舘村から伝えていきます。
いにしえの鍛冶の里から、日本の刃物づくりを伝えます
刃物の館 やすらぎ工房
飯舘村草野字大師堂113-37
☎ 0244-42-0333
(店舗)福島市三河北町16-6
☎︎ 024-533-0418
会社HP:https://www.hamononoyakata-yasuragikobo.com/<外部リンク>