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食材探訪Restaurant Cache-Cache猪岡暖子さん
食材探訪 Delicious iitate
飯舘村の未知のおいしさを探す時間
飯舘村には、豊かな自然、村ならではの伝統文化が存在し、何よりアグレッシブで温かい村民がいます。
“食材探訪“では、いろんなジャンルの料理人・シェフの方々に、飯舘村で美味しい食材を求めて時間(ひととき)を過ごしていただきました。そのつくり手と食材と出会う時間をご紹介します。
「Restaurant Cache-Cache」オーナーシェフ 猪岡暖子さん
宮城県岩沼市、岩沼駅から徒歩2分にある「Restaurant Cache-Cache」。
「食には様々な楽しみが隠れている」という思いを込めて、“かくれんぼ”という意味の仏語「カシュカシュ」を店名に。目にも舌にも美味しいフランス料理を気負わずに楽しめる、フレンチながら入りやすい雰囲気が魅力で、料理は、野菜をふんだんに使った身体に優しいフランス料理を提供しています。
※Gault & Millau2023、Gault & Millau2024、Gault & Millau2025を連続受賞
Gault & Millau(ゴ・エ・ミヨ)とは、料理人はもちろん、優れた食材とふさわしい器、行き届いたサービスなど、世界15か国で展開され、フランスをはじめとする各国の優れた食のプロフェッショナルを評価する制度です
★上記写真 いいたて雪っ娘かぼちゃの磨き作業(雪っ娘かぼちゃの表面についている土汚れを落とし)
飯舘村のこれまでと今、そしてこれからを
最初に飯舘村に訪問いただいたのは2025年1月。あれから8か月。今回の訪問は、秋晴れで青空が広がる9月、改めて飯舘村の生産者さんと交流する時間をつくりたい!と訪問いただきました。
まず、東日本大震災がおきてからの村の歩み、農業の再開にむけた課題や対応、そして新たな飯舘産黒毛和牛のブランド化の方向性について、副村長と役場職員の説明を受けるとともに、シェフの立場からの意見をいただき、今後も、猪岡シェフならではお料理で表現し連携していく意向をお話くださいました。
いいたて雪っ娘かぼちゃに魅せられて
「収穫してそのまま出荷するのではなく、乾物率25%以上の雪っ娘かぼちゃのみを出荷。汚れを落とし、磨き上げ、お嫁に行くまで丁寧に取扱いしている」という、までい工房美彩恋人の「ブランドポリシー」。猪岡シェフも、そのこだわりを詳しく聞かれていました。
さらに、「乾物率30%超えの雪っ娘かぼちゃは、「極上」もの。甘みがあってホクホクとしっとり感がよりつよく、ほんとうに、素晴らしいかぼちゃに出会えて、取扱いさせていただけることがとっても嬉しい」と猪岡シェフ。猪岡シェフには、朝早くから検品作業を3ケース分体験いただきました。
ここでプチ情報
猪岡シェフ、いいたて雪っ娘かぼちゃをご自身のレストランコースに取入れるだけではなく、「Gault & Millau 2025」日本版の受賞東北シェフのレセプションパーティーでお披露目するなど、お料理を通して様々な機会で魅力発信に取組んでくださっています。
ナツハゼとの出会い
抗酸化作用がブルーベリーの約6倍ある「ナツハゼ」。その実は、濃紫カラーで、際立つ酸味が特徴です。
「酸味を活かして何かできないかな」、と検討を進めるなかで、武藤さんご夫妻の圃場を訪問させていただき、摘み取り体験をしました。武藤さんご夫妻のお話によると、当初、ナツハゼは生け花の切花用に生産を始めていたんだそう。今は、ナツハゼの実が抗酸化作用があるという特徴を知って、実そのものを求めて問い合せがくるようになったとのこと。猪岡シェフも「色、味ともにお料理のアクセントになるので、とても魅力的な食材」と味見して摘み立ての味わいを確かめていました。
村内のベーグル屋さん「村カフェ753」で人気の「ナツハゼベーグル」を求めて立ち寄り、飯舘村のナツハゼを加工するにあたってどんな特徴があるのか?収穫時期のタイミングによって酸味の違いがあることなど教えていただきました。
肉のゆーとぴあさんが手がける「飯舘村産黒毛和牛の熟成牛」
「今の黒毛和牛の流通の状況は、福島県産となると単価が㎏あたり他県産より低くなってしまうのが実情。この状況を打開して、飯舘村の牛の価値を上げていくため、生産からお肉になるまで一環して管理したい。猪岡シェフには、この考え方に共感いただいて取扱いを継続的にしていただき感謝です。」と山田さん。
猪岡シェフも「お肉で言えば、A5ランクやサシの入り方で評価されることが一般ではあるけれど、私的には赤身の肉の美味しさとか、適度なサシはあるけど、脂のもたれない感じとか、そういった美味しさが好きで、山田さんが手がけた熟成牛はその最たる美味しさがあって信頼して仕入れさせていただいています。本当に感激したので、1月に出会って以来、レストランで使わせていただいています。」と、山田さんが取組んでいる方向性に共感されていました。
放牧地の視察では、今年1月に出会った、猪岡シェフと同じ名前の、放牧場にいる経産牛の「やすこ」と再開!
放牧の環境に慣れていて、新規の放牧地にもこれからお引っ越しし、他の牛さんたちが放牧になれるまで、しばらく放牧で過ごすそう。いずれ、命をいただく時期を迎えることになったら、やすこシェフが一皿にする時がくるかもしれません。最後に、今回の食材探訪を終えて。
「その土地だからこそ生まれる味と、人の思い。私はこれを”Reborn Terroir ー 再生する大地からの贈り物 ー ”と名付け、11月に飯舘食材のランチコースを企画しようと思います。」とシェフ。詳細は、@restaurant_cachecache より、ご確認ください。