飯舘村ホッププロジェクト2024 ー東京大学ー

「冷涼な気候を好むホップを、近緑種が自生する飯舘村で栽培してみよう!」
2024年4月、東京大学農学部の院生と学部生約20人の有志が、「飯舘村ホッププロジェクト」を立ち上げ、飯舘村に通いながらホップ栽培に挑戦しました。

写真は、プロジェクトの運営メンバー
左から
志賀さん(共同代表)、畑上さん(共同代表)、市本さん、小高さん、大下さん、浪川さん


このプロジェクトは、学生たちがホップ栽培とクラフトビール製造に取組みながら、飯舘村を知ってもらう活動を行い、飯舘村の関係人口の増加や産業振興につながることを目指しています。



『IITATE HOP』栽培チャレンジの歩み

4月末日。飯舘村のゲストハウス「COCODA」さんの畑をお借りし、ホップの苗を植えが行われました。                               その後は、プロジェクトメンバーが毎月1~2回圃場を訪問し、状態の確認、雑草抜き、農薬散布、選芽作業を行いました。メンバーが訪問できない時は、ゲストハウスCOCODAの管理人の大澤さんがホップの生育状況を見て、水やりなどの管理をサポート。

また、IOTカメラを圃場のいろいろなところに設置して、いつでもどこでも生育の様子を確認できるようにしたり、土壌水分センサーや気象計も設置し、圃場の状態をモニタリングも実施しました。イノシシの親子(?)が登場‼ したりして、野生の動物にホップ畑が荒らされないことを祈る日も!

苗を植えた後の5月訪問時には、小さめの株はかなり虫に食われて、少し弱り気味になった部分もあり、殺虫剤での虫食い対策、栽培棚の補強、選芽作業、草むしりなど対策し、成長をメンバー一同見守りました。

6月。ホップは順調に成長し、特にマグナムという品種では、ビールに使用される「毱花」の前段階となる「毛花」が多数つくまでに。
条件によっては1年目にはホップができない場合もある中で、飯舘村の気候や土壌はホップ栽培に適しているのかもしれない、と可能性に期待が膨らみました。

同時に進めてきた製造に関する打合せも、福島市のブリュワリーである「Yellow Beer Works」様のご協力のもと、飯舘村のホップを使用したオリジナルクラフトビールの醸造を引き受けていただけることになりました。

 

メンバーみんなで迎えたホップ収穫日、総勢20名以上で一気に収穫!

8月27日早朝。
プロジェクトメンバーだけではなく、東京大学・復興知学の授業に参加していた学部生、東北大学、福島高専の学生、杉岡村長もかけつけました。
この日に収穫したホップは、「カスケード」という品種。

カスケードは、1956年からアメリカで育種がはじまり、1972年にリリースされたアメリカを代表するアロマホップ品種の1つです。
その特徴は、ハーバル、スパイシー、グラッシー、フローラル、シトラスといったキャラクターがあり、バランスのとれた苦味が特徴です。アロマホップ品種として、主にビールの香りづけに使われています。

総勢20名以上で、黙々とホップを摘み取り、合計約8kgのホップを収穫。
収穫したてのホップは、クラフトビールの醸造を快諾くださった「Yellow Beer Works」さんに自分たちで運び込み、すぐにビール造りにとりかかりました。

醸造開始から約2ヶ月!ついに、乾杯の時!

10月26(土)、完成した『IITATE ReCRAFT』のお披露目会が行われました。 (会場:飯舘村の宿泊体験館『きこり』)
会には、村内外の関係者のみなさん約30名が集まり、笑顔で乾杯!
お披露目会の場で初めて飲む『IITATE ReCRAFT』は香り高くフレッシュな味わいのとても美味しいビールに仕上がっており、「ホップの香りと程よい苦みのバランスが最高」、「初年度でホップが収穫できて良かった」などと、感想や思いを伝え合い交流をはかりました。

商品名の『IITATE Re CRAFT』には、飯舘村の「復興」を願う想いが込められています。
ラベルデザインは村内でローカルプロデュースに取組んでいる『MARBLiNG』の矢野淳さんが担当しました。

できたて『IITATE ReCRAFT』を。

お披露目会の翌日開催された「いいたて秋まつり」。
「できたてのクラフトビールを村民の皆さんに飲んでいただきたい!」という想いをのせて、ビールサーバーから注いで限定販売を行いました。

2024年製造分の『IITATE Re CRAFT』は、下記でご賞味いただけます。

🍺缶で購入できる店舗
●東大生協第二購買部 11月15日から販売し、完売御礼となりました。
●いいたて村の道の駅までい館 ※完売となりました(追加販売は行いません)

🍺飲める店舗
●ゲストハウスCOCODA ※宿泊者限定(飯舘村)
●Yellow Beer Works文化通り店(福島市)※完売御礼
●東北cafe&Diningトレジオンポート(東京都港区)※完売御礼

※12月19日現在は、ゲストハウスCOCODAでご賞味いただけます。
缶の販売等については、販売2025年の販売まで、楽しみにお待ちくださいませ。

来年も多くの方々と乾杯!の瞬間を迎えられることを願って!

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『飯舘村ホッププロジェクト』の近況情報は下記Instagramアカウントからご覧ください。
@iitatehop

飯舘村ホッププロジェクト共同代表のお二人からのメッセージ

畑上 太陽さん (写真左)

過去3年間、東大・溝口研究室の一員として飯舘村をたびたび訪れてきましたが、今年度は本プロジェクトの共同代表として月1回を超えるペースで通い、文字通り「第二の実家」のようにお世話になりました(笑)。皆様には心から感謝申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。
今年度、ホップ栽培ならびにIITATE ReCRAFTの生産、販売を通じて、何気なく手に取る製品を「作る側」としての楽しさと大変さを身をもって学びました。大変なことも多かったですが、お披露目会で初めて完成したビールを皆様と飲んだ瞬間の感動、そして喜びの笑顔は忘れられない思い出です。少しでも飯舘村の皆様に喜んでいただけたのであればこれ以上の幸せはありません。

飯舘村ホッププロジェクトは、来年度以降も継続していきます。私自身は代表を後輩たちに引き継ぎますが、引き続き定期的に飯舘村を訪問し、彼らの活動を見守りながら、飯舘村の皆様と一緒にビールを楽しめればと思っています。
増産や味の改良、ホップの新たな使途の開発など、やりたいことはまだまだ山積みです。皆様のお力もお借りしながら、一歩ずつ進んでいくことで、飯舘村の振興に寄与し、皆が笑顔になれるようなプロジェクトであり続けたいと考えています。
毎年少しずつ進化する「IITATE ReCRAFT」をどうぞ楽しみにしていてください!

志賀 智寛さん (写真右)

プロジェクトの立ち上げから、ホップの生産、クラフトビールの醸造、ブランディング、PR、販路開拓まで、様々な村民の方に支えていただき、ここまで来ることができました。こうして多くの村の方と協働して、一つの商品を作り上げることができたということが自分にとっての何よりも宝物になりました。お世話になったすべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

本プロジェクトは、ホップ・ビールを通した新たな関係・交流人口創出をしていくことに大きな役割があると個人的に考えております。ホップやクラフトビール自体のレベルアップとともに、その目的を達成できるよう、さらに事業の幅を拡大していきたいと思います。来年度以降は、後輩に引き継ぎながらも、自分自身も最大限サポートしていき、村にも継続的に関わらせていただきます!引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。