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ゆかり農園 木幡百香里さん
ゆかり農園の木幡百香里さんは南相馬市出身。飯舘村出身のご主人とともに現在は川俣町で生活しています。自宅敷地と村内に畑計約20アールを所有し、低農薬にこだわって季節の野菜を栽培していて、農産物の生産だけではなく、2023年7月からは加工品づくり、そして2024年5月末から毎週水曜日、飯舘村内施設で「もりの駅弁当屋さん」の販売に挑戦しています。
震災前は南相馬で今とは全く別の仕事をしていました。
飯舘村出身の主人と縁あって結婚することになり、それを機に飯舘村で新しい生活を始めようとしていました。そんな折に震災が起こりました。
全村避難指示で家を建て替えたばかりのご両親が避難先で辛い思いをしているのを見かねて、主人の職場がある川俣町の家でみんなで一緒に暮らすことにしたんです。兼業農家でしたので、川俣でも畑仕事ができるといいね!という思いで、農地を入手。その敷地内に農地転用許可申請を出して、畑付き住居を計画しました。
あれこれ奮闘しながらようやく完成に漕ぎ着けた頃、飯舘村避難指示解除が決まり、ご両親が村へ戻ることになりました。とても嬉しいニュースでしたし、慣れ親しんだ我が家へ戻りたいという気持ちは当然です。しかし、川俣に完成した畑付き住居は、農地転用物件。農業従事者のための住まいです。誰かが農業を続けなければなりません。主人は会社勤めですし、ならば私がやってみるか!と覚悟を決めて始めました。それがゆかり農園のスタートです。見よう見まねと創意工夫、ご両親も地域の方々も色々教えてくれました。
最初の1年間は作付〜収穫〜友人知人へ配る/自分たちで食べるという収益ゼロモデルでした。2年目から少しでも収益を上げたいと思い、身内総出で敷地内に無人販売小屋をDIYで制作し、販売してみたんです。
全くもって手探りの農業、さまざまな壁にぶち当たってきました。自家消費と販売する野菜、これ以外に収穫で傷をつけてしまったり、虫に食べられて売り物にならない野菜などロスがどうしても出てしまったり・・・。ロスを全て自家消費できればいいのですが、これがなかなかの物量でとても追いつきません。そこでひらめいたのが、そういった食べられるけど販売に向かない野菜を原材料に加工品に調理すれば問題が解決すると考え、飯舘村でオープンした「もりの駅まごころ」の加工場を利用して惣菜作りと販売に挑戦しました。この取り組みを始めてから1年ほど。惣菜、お弁当の製造と販売、そして農園での栽培と直売。これが現在の私の主軸です。
月曜日/畑仕事⇒火曜日/畑仕事と惣菜・弁当の仕込み⇒水曜日/「もりの駅弁やさん」⇒木曜日/いいたて村の道の駅までい館へ出荷するスイーツの製造⇒金曜日/畑仕事、土日は休みたいけれど、自分一人じゃやりきれない畑仕事を主人に手伝ってもらってこなしています。
畑では四季を通じて私の作りたいものを作付けしていて、カブ サラダかぶ 赤大根 レタス サラダワサビ菜 トマト なす ピーマン ししとう サラダごぼう 赤かぶ にんじん 青梗菜 黄金株 小松菜 サラダ大根 さつまいも 里芋 じゃがいも各種。じゃがいもはポテトマッシャーまで買って本格的にフライドポテトを作っています!
食品衛生法上、加工場じゃないとポテトマッシャーでジャガイモを形成できないんですけれど、(食材を切る行為ですからね)本当は子供達にマッシャーでジャガイモをガシャん!って切らせて、それを目の前で揚げて食べさせたくて機材を買ったんですよ。「もりの駅弁屋さん」
2024年5月末にオープンした「もりの駅弁屋さん」。
飯舘村産農産物などを使ったお弁当を「もりの駅まごころ」(福島県飯舘村関根)で毎週水曜日(11時00~14時00分)、販売しています。ボリューム満点&豊富なお弁当のバリエーションで、今日は何を食べよう?!と迷ってしまうほど。
お味噌汁(無料)もセルフサービスで提供していて、幸せな昼食タイムを過ごせます。(テイクアウトもOK)
ほっとする店主木幡百香里さんの手料理を求めて、毎回多くのお客が訪れています。ある日のメニューは・・・・
・幕の内弁当
・カレーライス
・唐揚げ弁当
・チャーハン
・たまごサンドイッチ(ゆかり農園さんのプリンに使われている卵と同じ卵を使用しており、卵の黄身の色がオレンジ色✨)ゆかり農園といえば、「プリン」の印象をもたれることが多く、今は「プリン屋さん」と言われることも。実は、自分好みで作っていたプリンを試しに店頭に並べてみたら、皆様から大変好評をいただき、ゆかり農園を代表する商品になりました。食べ応えがあるしっかりとした食感がある昔風なプリンです。
農業・食品加工・スイーツづくりはどれも人生で初めての仕事。課題も山積ですが、やりがいもたくさんあります。
今後は、パティシエの学校を出て、仙台のレストランで料理長をしている息子をいつか農園に参加してもらって、専用加工場を設け、もっと面白い事に挑戦できたらいいなーと考えています。
まだスタートして1年くらいですし、まだまだこれからですね!!ゆかり農園さんの「もりの弁当やさん」の販売情報は、Instagramからチェックしてみてください!